「大右衛門」さんのお店は数店舗ありますが、以前春日市惣利にあったお店が立ち退きになったために代替地を探した結果、大佐野にあった「陣屋」というお店が撤退されるということで、そこへ移転しました。その際の店舗のデザインから施工までを「マツノデザイン店舗建築株式会社」が行いました。
まずは既存のお店の分析から入りました。その結果、以下のような特徴が見られました。(写真1)
・通りに面してるのに目立たない存在(2015)
・客を取り込む店つくりができてない
・店の雰囲気がくらい
・外装イメージが一般住宅の延長線上
それと同時に、メリットとなる特徴もありました。
・角地で車が止めやすい
・隣にスーパーのくらし館、ドラッグストアのセガミがある
車が止めやすく、人が集まる店舗が周りにあるということで、デザイン次第で十分集客が見込めると判断しました。
デザインをするにあたってテーマとしたのは、以下の点です。
・品よくおしゃれに親しみやすいお店
・大衆食のうどんだが、ワンランク上の雰囲気を演出
・和のテイストを取り入れた小粋なうどん屋
・身体に優しい店作り
まず、”和のテイス”トを出すために各所に工夫をこらしました。外壁の色をベンガラという日本古来の伝統色を用いて、視認性のよい目立つ色合いにし、なおかつその反対色の黒を使うことにより、コントラストをつけました。(写真6)庶民的な食べ物であり、日本の文化という共通の意味でベンガラを選択しましたが、この色は江戸時代のお店によく使われていました。対する黒は武家屋敷のかわらをイメージしています。まわりに塀を設けたのも武家屋敷を意識しています。(写真3)
入り口をL字型にして、店内に入るまで坪庭を配し、ホッとできる和みの空間を作りました。正面に風除壁を設け、そこにポイントとして小さくお店の名前を入れました。(写真7)ここでもお店のイメージを表現しています。白を使ったのは、インパクトの強い赤と黒を中和させるためです。ただ白は汚れやすいので”光触媒”(光の力によって表面の汚れを押し出して汚れを排除する技術)という表面処理を行って、汚れ防止を施しました。(写真5)
店内のデザインに関しては、ユニバーサルデザインを心がけました。目につかない所も細かく配慮しました。
・車椅子用のスロープと広いトイレと手すりを用意しました。
・こたつ式のテーブルでお年寄りでも楽に座れるように配慮しました。(写真8)
・店内の座席は客待ちも含めて、足元と座面にガス床暖房を施しました。
・トイレや入口まわりに炭の塗装を行って、マイナスイオン効果を出しました。落ち着いた気分になるのと同時に消臭抗菌効果もあります。
・照明はちょうちんにして、あたたかみのある目に優しい光にしました。(写真9/10)
そして完成した店舗はなんと売上げ150%アップを達成!急遽スープ用の大型冷蔵庫を新たに買い足すほどの盛況ぶりです。