アイマート玄海の店舗デザインについて

対馬の厳原町と美津島町鶏知には、「アイマート玄海」さんというスーパーがあります。親会社は株式会社玄海といって、美津島最大の養殖業者です。海に仕切られたそのいけすには150万匹ものたいやあなごが泳いでいます。今回、鶏知の方の旧店舗を大幅に増床して新しく建築することになり、そのデザインから施工までを一貫して「マツノデザイン店舗建築株式会社」が担当しました。ドラッグストアの新生堂とのコラボレーションでしたが、対馬の土地柄の関係で土地を確保するのに山を切り崩すしかなく、面積の制約がありました。アイマート、新生堂合わせて1600平米の広さ、駐車場は150台分がやっとでした。

松野社長:
「いわゆるミックスドショッピングセンターなんよね。新生堂とアイマートとのコンビネーションなんよ。この2つは九州パワーグループの会員同士なんよね。九州パワーグループていうのは大手に対抗するために九州の若い経営者が集まって共同仕入共同研究開発をしてる集まりなんよ」

オーナーからの依頼があって最初に着手したのは、現場状況の把握、客層、地域ライフスタイル、ライフステージ(ターゲットの年代)、商圏設定の調査、商圏人口の調査、物件近隣環境の調査、競合店の調査分析などです。まずは徹底した情報収集から始めます。それによって戦略を練り、最高に効果の出るデザインをしなければいけません。
作戦として広い年齢層をターゲットにすることになったので、競合店より優位な売り場面積と商品量を確保したいところですが、スペースが十分に確保できるわけではありません。そこで、”デザインの威力”で競合店に勝つ方法をとりました。店舗イメージをツーランク上の都会的でおしゃれなムードで、それでいて気楽に入りやすい店構え、そして活き魚を売りにした新鮮な生鮮品郡を武器に生き生きした店づくりで”鮮度勝負”のサブタイトルをつけました。
イメージ戦略として・・・

・対馬のランドマークとしての店舗イメージ
・2ランクイメージアップし、都会的でおしゃれな売り場作り
・入った瞬間に感動を得るような空間作り
・カーニバルデザインで楽しさと高品質で差別化した、福岡の店にも負けないくらいのムード

以上のようなポイントでデザインを進めました。
基本コンセプトは・・・

・自然(ナチュラル)・健康(ヘルシー)・おしゃれ(ハイセンス)

としました。具体的には、杉の板や土で作ったテラコッタタイル、木製のルーバーなど、自然の素材を多く使用しました。そして天井には木炭を塗りました。これは非常に多くの利点があります。木炭は、マイナスイオンを発生させます。防腐・防虫・防湿効果もあり、野菜や果物の鮮度を長持ちさせます。冷蔵庫などの電磁波もカットし、建材のホルムアルデヒドも吸収します。木炭は目に見えない部分でお店をバックアップしてます。

店内のカラーリングは、ナチュラルカラーとして、自然界にある色だけを使い分け、どこに何があるか、売り場がすぐにわかるように、それぞれのコーナーのイメージを作りました。

松野社長:
「魚は海の色で青やろ?そういう色ですぐイメージできるようにしとくと。そこに行くとそのコーナーがすぐわかるようにしとくと。暑くなくてもハワイ、寒くなくても北極てわかるようにすると」

お客様に満足して買い物して頂けるように 、”演出”しました。

松野社長:
「商品が主役。観客はお客さん。商品を最高の状態で見せるために演出するのがデザイン。おれはディレクターね。」
「ただデザインするだけじゃだめ。お店を劇場にせなだめ。お店はお客さんを呼ぶ劇場なんよ。入った瞬間から楽しいとこじゃないとだめ。それが最終的には売上げ増にもつながるしね」
「エンターテイメント性が大事。いかにお客さんを楽しませるか、いかに商品をスターにするかよね」

また、魚が非常においしいのでそれを強調しました。

松野社長:
「水産会社がやってるから魚が強いと。新鮮な魚がウリ。鮮魚じゃなくて活魚なんよ。魚はアイマートという意識をお客さんに植え付けると」

結論として、デザインというものがいかにお店に貢献するかを「アイマート玄海」さんで表現した形になりました。

松野社長:
「量と安さの大手スーパーに対抗するには、まごころとデザインよね」


オープン後1ヶ月検証に行って来ましたが、予想をはるかに上回る大盛況の連日でオーナーもニコニコ顔でした。